昭和10年代に生まれた私は、欠食の時代と飽食の時代の両方を経験しています。
食事の時、家族みんなで「箸取らば、雨土御代(ミヨ)の恩(オン)恵み、祖先や親の恩を味わいいただきます」と唱和しましたが、その文言を今でも思い出します。そうして親と一緒に食事をしたことを懐かしく思い出します。
小学校の校長先生から聞いた話です。球技大会の朝、コンビニの近くに車を停めて見ていると、複数の母親が菓子パンと合成飲料をこどもに買い与えているといいます。
それを全面的に悪いことと断罪はしませんが、欠食時代、わびしい食卓でも親と囲んで食事をした経験のある者にはスッキリしない気持ちになりますね。
それでは今回は、朝食抜きの食習慣が小学生の健康へ与える影響について考えてみたいと思います。
小学生が朝食を摂らない実態
小学生で朝食を摂らないで登校する生徒の割合ですが、ある文部科学省の統計では全国の平均で「14.7%」となっています。
ところが一方では、スポーツ少年団で活動している生徒はわずかに「3%」となっています。
朝食を摂らない生徒の身体と心に現れる問題点
では実際に朝食を摂らないと、「身体」にはどのように現れるでしょうか。
2)動悸
3)呼吸が浅い(息苦しい)
4)食欲不振
5)不眠
6)胃の痛み
また「心」にはどのように現れるのでしょう?
2)焦りや苛立ち
3)無気力感
この様に様々なマイナスの問題点が身体と心に現れてきます。
そのマイナスの問題点は朝食を摂らないことが主な原因です。
しかし朝食の問題だけではありません。その他にも考えてみたい問題点があります。それらの問題点を様々の角度から検証してみましょう。
現代人の生体時計は狂っている
何故、生体時計は狂うのか?
人類のルーツが地球上に誕生して700万年とも800万年ともいわれています。800万年から現代にいたるを生き抜いて現在の姿があるのは太陽の恩恵なしには考えられません。
飢餓から逃れるために日の出とともに起き出し、農耕や狩猟に精を出したとだと思います。太陽以外に光のない暗闇ですから日没とともに就寝したのです。
ところが現代はどうでしょうか。以前は観測が出来ていた天文台が今ではほとんどの天文台が観測できないといいます。24時間、明かりのない時はありません。
日の出とともに起き、日没とともに寝るという人類が本来持っている生体時計は狂っているのです。
人類の活動と休息のホルモンとその働き
ホルモンはどんな働きをするのか?
朝日を浴びることによって、眠りのホルモンであるメラトニンの分泌が減り、代わりに心身を活性化させるセロトニンが分泌されるようになり、1日をスタートさせることが出来ます。
また、朝日を浴びると体内時計がリセットされるため、毎日規則正しく眠ったり起きたり出来るようになるのです。朝日を浴びることは不眠症を治す方法としてとても有効なのです。
内臓は体内時計に従って働いている
消化器と肝臓はいつが一番活発に働いているのか?
2)大腸・・朝5時から7時まで
3)胃・・朝7時から9時まで
と言われています。
出典は、東洋医学を学ぶ者が必須としている「12経の循行と12支の関係」です。
以上検証してきたように日の出とともにセロトニンの分泌によって身体は活動モードなっています。また消化器も一日24時間の内で一番活発に働く体制になっています。
この貴重な時間帯に朝食を摂らないということは健康で幸せに暮らす権利を放棄していることになりますね。
ましてや20代までに骨格と身体を完成させることが必要な子供に、朝食を摂らせないのは虐待といわれても仕方がありません。
朝食は身体が欲しがっている
子供に朝、何を食べさせたらいいのか?
2)大豆製品・・納豆 マグネシウムの含有量が多いので酵素とホルモンの働きを助ける
3)小魚 カルシウムの補給のため
4)緑黄色野菜
5)キノコ・卵・青魚 ビタミンDを多く含んでいるのでカルシウムの吸収を助ける
上にあげた、1)から5)の食品を組み合わせる時、気を配ってほしいのはカルシウムの摂取量のことです。カルシウムは精神を安定させるといわれています。
最後に
いかがでしたでしょうか。保護者が朝食を摂る家庭では、1割程度の子供が朝食を摂らないといいます。ところが保護者が朝食を摂らない家庭では、4割近くの子供が朝食抜きになっているという事実です。
子供のためにも、大人が率先して朝食を摂り、健康な生活を送る手本になるべきです。
朝食は、子供の「身体」と「頭脳」と「精神」を養う重要な食事です。そして親子の絆を強めるためにも大切な時間なのです。
テストの点数をとやかく言う前に、正しい食育を行う素養を親が身に付けるべきでしょう。
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