「フライングディスク」を投げたことがない人っていないんじゃないでしょうか?
「あ、あの犬が加えるやつでしょ?」とか、
「よく公園や浜辺で投げてるやつだよね?」
と思う方も多いでしょう。
確かにその通りなんですが、実はそのイメージは半分しか真実をとらえていません。
今回はそんな奥深いフライングディスクの世界をご紹介します。
フライングディスクとは?
パイ屋さんのパイ皿が・・
フライングディスクは、1940年代にアメリカ合衆国のコネチカット州にあるエール大学の学生たちが、キャンパス近くの「フリスビー・パイ」というパイ屋さんのパイ皿を投げて遊んでいたことが起源とされています。
そのパイ皿を投げて遊ぶ姿を見たウォルター・フレデリック・モリソン氏が、1948年に金属製ではなく、安全なプラスティック製で皿を、いや、ディスクを創ったのがフライングディスクのルーツです。
初期のころはただ「投げて遊ぶ」という玩具のような扱いだったのですが、その優れた飛行性とスポーツ性のために、この特徴を活かした10種目の競技が生み出されました。
正式に承認されたスポーツ
今やフライングディスクはただの「遊び玩具」ではなく、れっきとしたスポーツです。
2015年にマレーシア・クアラルンプールで開催された第128次国際オリンピック委員会(IOC)総会において、2年間の準承認期間を経て正式に承認団体として認められています。
また、フライングディスクの世界組織、「世界フライングディスク連盟(WFDF)」には、2015年現在で62の国・地域が加盟しています。
国内でも大学スポーツを中心として今では愛好者は150万人を超え、約120校もの大学、高校の授業にも採用されています。
フライングディスクにはどんな競技があるの?
フライングディスクの競技は以下の10種類です。
アルティメット
アルティメットは、フライングディスクの総ての要素をチームプレーに集約した文字通り「究極のディスク競技」です。
全体観としてはアメリカンフットボールのディスク版という感じでしょうか。
ディスタンス
ディスタンスはもっともシンプルな競技です。ディスクを飛ばした距離(ディスタンス)を競います。
アキュラシー
スローのコントロールの正確さ(アキュラシー)を競う競技です。
マキシマム・タイト・アロフト
投げてからキャッチまでの滞空時間を競う競技です。
風を最大限に利用するためには、風が吹いてくる方向に対して絶妙な角度で投げて滞空時間を稼ぎます。
スロー・ラン・アンド・キャッチ
投げたディスクを出来るだけ遠くで自らがキャッチする競技です。
高度な投げるテクニックとともに、それを受けるための走力が不可欠です。因みに現在の世界記録は92m64cmだとか。
ダブルディスクコート
17m離れた、一辺が13mの正方形のコート2面に、2人1組の2チームが分かれて2枚のディスクを相手コートに投げ合って得点を競う競技です。
相手がキャッチ出来ずに、相手コート内にディスクが止まるか、相手の投げたディスクがアウト・オブ・バウンドに出た場合は1点。
相手チームが2枚のディスクを同時に持った場合は2点を獲得します。
5点毎にコートを交換して、予選は21点1ゲーム制、決勝は15点5ゲーム制です。
ガッツ
対面した5人ずつの2チームが、ディスクを交互に14m離れた相手のスコアリングゾーンに投げ合い、相手が片手でキャッチ出来なかった時、また相手のスローが5人の手の届かないところを通過した時などに1点獲得する、得点を競うチーム競技です。
ディスカソン
これがもっともキツイ競技かもしれません。
起伏に富むクロスカントリーコースに20~30か所の通過ポイントのある約1kmのコースを2枚のディスクを交互に投げて進ませる競技です。
いわゆるディスクのマラソン版です。
ディスクゴルフ
文字通り、ディスクを使ったゴルフのような競技です。
18ホールでポールホールにディスクを入れるまでスロー数の少なさを競う競技です。
フリースタイル
ディスクを用いた自由演技です。
1枚または複数のディスクを用いて、音楽に合わせて規定時間内に投げたりキャッチしたり演技を入れたりする自由演技を競います。
ディスクの新体操版といったところです。
アルティメットでのフライングディスクの投げ方
それでは究極の競技と呼ばれるアルティメットで、もっとも多く使われるディスクの投げ方を二つご紹介しましょう。
バックハンドスロー
この投げ方は最も一般的なディスクの投げ方です。
初心者が一番習得しやすくて、ディスクのコントロールもしやすいですし、スピードも出やすくなる投げ方です。
サイドハンドスロー
この投げ方は、身体の利き手側(左利きの人なら左側)からディスクを投げる投げ方です。
アルティメットでは相手のディフェンスをかわしながら、クイックに投げる時に使います。
フリスビーとの違いは?
ここまで読まれたかたはこう思われて読まれたのはないでしょうか?
「フライングディスクってフリスビーのことでしょ?」って。
これは間違いでもあり、正解でもあります。その理由をご説明しますね。
フライングディスクの起源のところでお話ししたように、このディスクのルーツはパイ屋さんのパイ皿です。そのパイ屋さんの名前こそが「フリスビー・ベーカリー」でした。
その後このディスクが商品化されるときにフラフープで有名なワーム・オー社が「フリスビー」という商品名でこのディスクを売り出しました。
ですので、このフリスビーという名前は一つの会社の商品名だったのですね。コーラとコカ・コーラのような関係と言ったら解かり易いでしょうか。
1984年にスウェーデンでWFDFの要職たちが集まり、どのディスクメーカーからも独立した組織として存在するために、この「フリスビー」という名前を廃したわけです。
フライングディスクでスポーツを!
どうでしたか?
フリスビーだと思っていたこの「玩具」は、実はフライングディスクというスポーツの「用具」であったことがよく解ったと思います。
「公園で投げて遊んだ」人も「フライングディスクの競技」にはなかなか参加したことはないのではないでしょうか?
ただ投げるだけでも楽しいフライングディスクですが、そこにテクニックやゲーム性が加わり、スポーツとして向き合うとまったく違ったものが見えてきます。
是非一度、フライングディスクというスポーツを体験してみませんか?
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